文鳥と暮らすための本

1章 ヒナとの生活

1、 迎える前に考えておくこと

・ 飼育するための時間があるか確かめる

・ 病気やケガの際に頼れる病院を探しておく

・ 買う場合はお店をしっかりチェックする

 

衝動買いはダメ!
衝動買いはダメ!

文鳥のヒナを手のりにするには、一日4回前後、数週間、口にエサを入れてやる給餌(きゅうじ、餌づけ・差し餌【さしえ】)が必要になります。一回の給餌は10分程度で終わる簡単なものですが、このわずかな時間がとれないようでは、幼いヒナは飼えません。
 もちろん、衝動的に生き物を買ってはいけません。文鳥は7、8年を平均寿命とされ、10年以上生きることも珍しくない生き物です。その間、飼い主の人生にもいろいろあるかもしれませんが、家族の一員として、出来る限りしっかりと世話をして、お互いに楽しく暮らしていく覚悟が必要です。ちいさな文鳥の一生が充実したものになるか、そしてそのちいさな生き物と暮らすことで得られる喜びが大きなものになるのか、すべて飼い主になるあなた次第です。後悔のないようにしっかりと考えましょう。
 
 また、文鳥は、比較的に飼育が容易で安価ですから、生き物を大切にする気持ちを育む、いわゆる情操教育のために、子供に飼育させるペットとしても適していると言えます。しかし、子供の自由放題にまかせていては、全く逆の結果になってしまう可能性があります。世話をするのは子供でも、それを見守り、導くのは大人である親の責任です。買い与えるのではなく、一緒に世話をする気持ちが必要でしょう。

冬の水浴び場での激闘
冬の水浴び場での激闘

文鳥は比較的には丈夫な小鳥です。関東地方より西の平野部では、暖房や冷房のない室内で元気に生活してくれるはずです。しかし、生まれつき虚弱な体質の文鳥もいます。また、若くて健康な文鳥でも病気になってしまう可能性はあります。特にヒナは、ペットショップなどの購入先で病原菌をうつされていて、家に連れてきてから数日内に症状が出てくることもあります。さらに、元気な文鳥ほど、飛びまわってケガをする可能性も大きくなってしまいます。
 突然調子が悪そうになったり、ケガをしているように見えたりした時、慌てて近くの動物病院に連れて行っても、適切な診療が受けられるかわかりません。残念なことに、小鳥についてしっかりと診療できる獣医さんは少ないのです。たとえ診療項目に「小鳥」とあっても、実際には正しくつかむこと(保定【ほてい】)もできない獣医さんがいます。そのような獣医さんでは、不適切な診療で、さらに悪化させてしまう危険があります。事前に評判などを調べ、すこし遠くても信頼できそうな獣医さんを見つけておきましょう。

≪参考リンク≫ 文鳥を診られるはずの動物病院サイト一覧


 購入するお店にも注意が必要です。文鳥のヒナにはトリコモナス感染(人間の感染するトリコモナスとは別種で、人には感染しません)という重症化しやすい病気があり、管理に問題のあるお店では蔓延していることがあります。まずは、敷材は清潔か、保温をしっかり行っているか、大きさの違うヒナやインコなど別の種類のヒナと一緒にしていないか、安眠できるような配慮をしているか、などの点について、ヒナを見るよりも前に、そのお店の展示状況をしっかりチェックしましょう。

寝る子は育つ
寝る子は育つ

そもそも文鳥のヒナは、本来なら給餌の時間以外は、薄暗い巣の中で親鳥に温められながら、ゆっくり眠って成長します。売るためにわかりやすく展示する必要があるといっても、透明ケースの中で強力なライトに照らされ続け、大きさの違うヒナに踏みつけられて、健康に良いはずがありません。また、仕入れるたびに容器や敷材を取りかえることで、もともといたヒナに感染症が発生していても、新たにやって来たヒナたちへの伝染させずに済むはずです。それを怠ることで、何の問題もなかった新たなヒナたちにも次々に感染させてしまい、蔓延することになります。確かに、いろいろたくさんのヒナが大きなケースにいるのは、一見ほほえましく感じるものですが、本当は感染症を大量発生させているかもしれない危険で最低な状態だと理解すべきなのです。
 お店の大きさや外見、美しい店内装飾などに惑わされずに、どのようにヒナを扱っているかに注目し、成鳥(せいちょう=おとなになった鳥)も売られている場合は、その取扱いに注目しましょう。エサが入っているか、エサの質はどうか、水は新鮮か、清掃はしているか、などを確認することで、安心して生き物を購入できるお店か判断できるはずです。

 

いわゆる「里親」として、一般家庭で孵化したヒナを譲ってもらう方法もあります。
 営利を目的としない一般家庭で生まれ育ったヒナの方が、栄養面でも衛生面でもしっかりしていることが多いはずで、元気で丈夫なヒナをより期待できるはずです。しかし、「里親」の募集者がすべて善意だけの一般飼い主であるかはわかりません。営利目的に無理な繁殖をさせている可能性も、また不適切な環境で飼育している可能性もあります。従って、応募の際は、しっかりと連絡を取り合って、ある程度の信頼関係を築く必要があるかと思います。当然、募集者が、営利目的ではなく、飼育についてもしっかりとした考えのある飼い主なら、応募者側の熱意や誠意を求め、それを推し量るはずですから、相手の立場を考えた良識的な受け答えが必要となるでしょう。
 なお、「里親」募集が無料であるとは限らず、無料である必要もありません。家庭で生まれた丈夫なヒナに期待する人は、そもそも有料か無料かを気しないのではないでしょうか。生き物には値段では計り知れない価値があり、1羽1羽の個性は、他とは代え難い貴重なものです。「安いから」「高いから」といった価格のものさしだけで選ぶなら、お店の値札を見て回ったほうが簡単です。

 ≪参考リンク≫ 文鳥「里親」「里子」募集板

 

ひどい店には文鳥キック!
ひどい店には文鳥キック!

 

  次のページ

 

Copyright(C) bunchoya