文鳥(ブンチョウ)の飼い方


ヒナの飼い方

 卵からかえって2週間ほどの、まだしっかりと目の開いていないヒナを、親鳥から引き取って餌づけをすると、文鳥は人間を親と思いこみ(インプリンティング=『刷り込み』)信頼してくれるようになります。このように、幼い頃から人間をこわがらずに育った文鳥を、「手のり文鳥」と呼びます。

※幼いヒナを親鳥から引きはなすのは「かわいそう」な気がしますが、胃や腸の活動が親鳥以上になっているヒナちにエサをあたえるのは大変で、親鳥はくたびれはてて「かわいそう」なことにもなります。つまり、人間がえづけして手のり文鳥にするのは、いっしょに生活することになる人間に自然となれてもらい、親鳥の負担をかるくする、一石二鳥の方法でもあるのです。

 お店などで「手乗り文鳥」として売られている孵化3〜4週間のヒナを育てるには、まず、時間が必要になります。ヒナには3〜4時間に一度エサを与えねばいけないからですまた、飼育環境への配慮も必要です。例えば冬であれば保温の準備が必須となります。当然、食べ物の栄養にも注意が必要です。栄養の偏ったエサばかり与えていると、病気になってしまいます。

 

≪飼育環境≫

 生後4週間、バタバタと羽ばたくようになるまでは、エサを与える時以外は、暗くて静かであたたか(26〜32℃くらい)なところに置くことが重要です。
 特に冬に1羽のヒナを飼育する場合は、十分に保温できるように、いろいろ実験したほうが良いでしょう。

〔ヒナを育てるための簡易な温室の例〕

フゴの底に、乾燥牧草を2、3cmほどの厚さでしく

 実際にヒナのいる位置の温度がわかるように、温度計のセンサーをフゴの側面から、差しこんでおく。

   ケージの底あみの上に、シート式の保温器を置き、その上にフゴをのせる。
 カゴの内側に20Wカバー付き保温器に引っかける。
 底あみの下の引き出しに保湿用に水を含ませたキッチンペーパーをしく。
   ビニールシートをかぶせる。    ビニールシートの上から、上着など衣類や毛布類をかぶせる
     

室温19℃で実験したところ、ビニールシートの中が28.3℃、フゴの中は30.5℃になりました。 

より室温が高かい場合や、W数の大きな保温器をお使いになる場合は、
暑くなり過ぎないように、サーモスタット(自動温度調節器)を取りつけたほうが良いでしょう。

※ 透明なプラスチックケースなどで飼育する場合、直射日光に当たらないように気をつけましょう。

 

≪餌づけエサ≫

小さな容器にアワ玉を入れ、熱湯を注ぐ。    1分ほどそのままにしてから、上澄みの湯を捨てます。    アワ玉に対して20%未満の粉末飼料や青菜を混ぜる。    40℃ほどにさめたら与え、冷たくなれば湯せんしつつ与える。
 殺菌の意味もあり熱湯を使用し、また後で湯煎するので、陶器製のおちょこが使いやすいと思います。  未消化便が見られる場合は、2.3分待ってやわらかくしたり、アワ玉を少しすり鉢ですっておくと良いです。  粉末飼料はいろいろ工夫できますが、面倒な場合はパウダーフードなどを利用しても良いでしょう。  おちょこをお湯をはった小鉢で湯煎しながら、『育て親』で餌づけをする方法がお薦めです。

※ アワ玉とは穀をむいたアワ(粟)に、鶏卵(普通は卵黄のみ)をまぶして乾燥させた飼料です。市販のアワ玉で、添加される鶏卵が少ないと考える場合は、卵黄粉などをまぶすと良いでしょう。

 

≪餌づけ時間≫

以下は一例です。自分の生活スタイルに合わせて設定しましょう。

1回 午前7時30分    第2回 午前11時    第3回 午後2時30分
  第4回 午後6時    第5回 午後9時30分

 ※ 日中時間のとれない場合は、はじめから昼夜逆転して与える方法があります。↓は一例です。
   第1回 午後7時30分  第2回 午後11時30分  第4回 午前3時30分  第4回 午前7時30分

※ 『育て親』というスポイトを使い、湯づけエサを上からトントンたたいて先端につめ、を欲しがって開ける口の中に入れて与えます
食べる量は一定ではありません(第1回と最終回はあまり食べず、また成長過程で増減する)。欲しがるだけ与えます。
※ 上記の例のようにアワ玉を主食とする湯づけエサでは、前回に食べたエサがそのう(エサを一時ためておく、のどの透明な袋)に残っていても問題ありません(ただし、第1回目に前日のエサが残っていれば異常です)。

≪付き合い方≫

 翼を広げてバタバタ出来るようになるまでは、餌づけが終わればすぐにフゴなどの入れ物に戻します。長く手の中に入れておくべきではありません

 バタつかせるようになれば、手に乗せて餌づけをし(当然手はよく洗っておく)、その後5〜10分くらいは明るいところで遊びぶようにしましょう。

 孵化1ヶ月ほどして飛べるようになれば(初めはへたなので要注意)、昼間はカゴなどに移し(食べたり飲んだりできなくても、練習のためにエサや小さな水入れなどを設置しておきましょう)、明るい場所で生活させます。餌づけ時も遊びながらエサを与えるようにすると良いでしょう(エサは冷えてしまっても構いません)。

 餌づけしようとしても口を開かず、それでも元気に飛び回るようになれば、ひとり立ち(ひとり餌)です。おとなの文鳥(成鳥)と同様にして飼育しましょう。また、栄養価の高いアワ玉は、主食とは別の容器で、成長期の数ヶ月間与え続けた方が良いでしょう。

 ※ 孵化40日前後、口角にあるパッキンが消える頃には、自然にひとり餌になるのが普通ですが(口を開かなくなる)、少しおそくなるヒナもいます。その場合、あせらずにしっかりと餌づけを続けましょう。

オスメスの見分け方

 外見で、文鳥のオスかメスかを判断するのは不可能です。傾向としては、クチバシがつややかに赤く太ければオス、やや小ぶりでクチバシが薄くピンクがかっていて細ければメスですが、小柄なオスも、クチバシがつややかに赤いメスも普通に存在します。 また、アイリングと呼ばれる眼の周りの部分に、薄くはげたように見える部分があればメスという説もありましたが、そういった事実はありません

 結局、文鳥がオスなのかメスなのかは、さえずるかどうかで判断するしかありません。さえずりとは求愛の歌で、オスは首を伸ばしたりかがんだり、時にはピョンピョンとその場で飛び跳ねダンスをしながら、独自(文鳥によって多種多様で個性的)の節回しで鳴きます。それに対してメスは、「チィ!」「ピッ!」といった単音の鳴き声しか出さないので、いつも決まった節回しで歌っていればオスだとわかるのです。
 オスは、このさえずりの練習を、生後2〜3ヶ月くらいから始めます。グチュグチュとのどを鳴らし、いろいろな音を出そうと苦心するのです(「ぐぜり」と呼ばれます)。生後2〜3ヶ月、ヒナの羽毛が抜けておとなの羽毛に生え変わる頃に、ぐぜり始めないか注目しましょう!

 


成鳥の飼い方

 ↓は、繁殖期(9〜4月くらい)のケージのレイアウトの一例です。

 文鳥は活動的な小鳥なので、カゴの中でもすばやく動き回ります。何か驚くことがあれば、バサバサとあばれて危ないので、カゴの中はなるべくシンプルな方が良いと思います。

 止まり木は、上段と下段の2本を、上段が奥になるように設置するのが一般的です。文鳥は、インコのように止まり木の上をノシノシと伝い歩きしないので、あまり多く入れないほうが良いでしょう。
 同様の理由で、ハシゴなどの遊び道具は文鳥に適していませんが、ブランコはゆれる際にふん張るので運動になります。ごく単純なものを一つカゴに設置し、複雑そうなものは、カゴの外に遊び場を作り、そこに設置すると良いでしょう。

 ケージには付属の底あみ(フン切りあみ)がありますが、これは底に落ちたフンや古いエサを、文鳥がつつかないためのものです。
 また、普通のケージでは引き出しになっている底に新聞紙を敷くのが一般的ですが、これは底が乾燥してフンなどが取りにくくならないようにするためですから、毎日のように底面を洗う場合は、特に敷かなくても良いでしょう。

 つぼ巣は特に必要はありませんが、冬に寒くなる場所や、夏に直射日光が当たるような場所なら、設置しておいた方が良いでしょう。ただし、産卵を望まない場合は、設置しない方が良いでしょう。

 ケージは明るく(直射日光があたり続ける場合は日よけが必要です)、あまり湿度が高くならず、人通りがはげしくなく、寒気が当たらず、冷暖房器に近接していない場所が理想です(あくまで理想です)。また、床に直接置かず、数十cm以上ある台の上の方が、文鳥たちは落ち着くようです。家の中としては、湿度が上がりやすく、有害なけむりが生じやすい台所や、人通りがはげしく寒い玄関はさけた方が良いでしょう。

 

≪主食について≫

 中・大型インコの飼育では、自然食品よりも人工的な加工食品であるペレットを主食にしたほうが良いとされています。それは、インコ類のエサとなっていたヒマワリや麻の実などの種実の脂肪価が高く、肥満を引き起こしやすかったからです。一方、文鳥など小鳥の主食とされてきた数種類の穀物は、種実に対して脂肪価がけた違いに低いので、肥満防止という意味でペレットの必要性はありません
 むしろ、数十パーセントの脂肪を含む種実食に対して、「ダイエット」になるインコ用のペレットは、もともと数パーセントの脂肪しか含まない穀物を主食にする文鳥にとっては、栄養価が高過ぎることにもなり、かえって肥満を起こす可能性も考えられます。
 つまり、利便性や特殊な事情がなければ、配合エサを主食にして飼育した方が良いでしょう。

飼料の栄養価

 

品目

エネルギー

脂肪

タンパク質

炭水化物

ビタミンB1

穀物

精白ヒエ

367kcal

3.7%

9.7%

72.4%

0.05mg

精白アワ

364kcal

2.7%

10.5%

73.1%

0.2mg

精白キビ

356kcal

1.7%

10.6%

73.1%

0.15mg

カナリアシード

6.2%

13.3%

60.6%

玄米(青米)

350kcal

2.7%

6.8%

73.8%

0.41mg

えん麦(オートミール)

380kcal

5.7%

13.7%

69.1%

0.20mg

そばの実

364kcal

2.5%

9.6%

73.7%

0.42mg

種実

麻の実

463kcal

27.9%

29.5%

31.3%

0.35mg

えごま

544kcal

43.4%

17.7%

29.4%

0.54mg

ごま

578kcal

51.9%

19.8%

18.4%

0.95mg

ニガーシード

483kcal

32.6%

18.4%

37.0%

『五訂日本食品標準成分表』/カナリアシードはペッズイシバシ商品表示/ 二ガーシードはパドゥー大学提供NewCROPより

 市販されている普通の小鳥のエサには、ヒエ、アワ、キビ、カナリアシードの4種類の穀物が配合されています。これらの穀物の主要な栄養価は、あまり違いがありませんが、タンパク質中の必須アミノ酸の比率などに細かな違いがあるので食べる種類がより多い方がそれぞれの欠点を補われ、健康に良いものと考えられています。
 より栄養面で多様にするために、飼育されている文鳥の好みに合わせて、普通の配合エサに、他の穀物や種子を混ぜても良いでしょう。例えば低カロリー低脂肪で腹持ちが良い玄米や、血流を良くするルチンや腎臓の働きを活性するコリンを含むそばの実などがお薦めです。また、ニガーシードなどの種子も、穀物類にはすくない必須脂肪酸などの栄養素を含みますから、低配合率で混ぜても良いでしょう(混ぜすぎると脂肪過多で肥満になります)。

 なお、配合エサには穀を取りのぞいたもの(カラむき)と、殻のついたままのもの(カラつき)があります。カラむきを主食とすれば、食べかすが少ないので掃除が簡単に済みます。しかし、ヒエ・アワ・キビは穀をむくことで、栄養価、特にビタミンBが損なわれやすいので、カラむきを主食とする場合は、ビタミン剤などのサプリメントをまぶしたり、玄米やそばの実を配合エサに混ぜると良いでしょう。

 

≪副食について≫

 主食の穀物には、ビタミンAやミネラル類がほとんど含まれていないので、それらの栄養を副食で補う必要があります。

 青菜
 健康を維持し老化を防止するため、ビタミンAの摂取は必須です。小松菜・豆苗(トウミョウ)などの青菜を、毎日は無理でも週に数回は与えましょう(キャベツ・レタス・キュウリなどはほとんどビタミンAを含まないので、与えるとしてもおやつの位置づけとなります)。豆苗は室内で簡単に栽培できるので、小松菜などが高くて買いづらい時に便利です。
 食わず嫌いの文鳥や、飼い主が青菜を用意しにくい場合は、新鮮な青菜を食べる機会も作りながら、配合エサにビタミン剤などのサプリメントや小松菜粉などをまぶして与えると良いでしょう。

 ボレー粉
 牡蠣殻を砕いたボレーは、カルシウム・ナトリウム・ヨード(ヨウ素)などミネラル分に富んでおり、文鳥には必須の副食です。普通は主食とは別の小さな容器に入れて、1、2週間に一度取り替えます。しかし、繁殖期のメス以外は、なめる程度で十分ですので、配合エサの中に少し混ぜておくだけでも良いでしょう。

塩土
 鉱物に塩分(ナトリウム)とボレー粉を混ぜた飼料で、塩分を補給すると同時に、鉱物粒子による砂ずり効果で消化を良くします。インコの場合は固形の塩土をかじって食べてくれますが、文鳥はそれが下手なので、砕いて与えた方が良いでしょう。ただし、この飼料はボレー粉を与えていれば、必須ではありません。

アワ玉
 殻をむいたアワに鶏卵をまぶして乾燥させた飼料で、秋から春にかけて繁殖を行う場合に、主食とは別の容器に入れて与えます。また、生後半年未満の成長期にある若鳥や換羽中に与えても良いでしょう。

副食用ペレット
 ビタミンやカルシウムの補給のための人工飼料です。用途に合わせ、また文鳥自身の嗜好性を見ながら与えます。

ミルワーム
 野鳥やは虫類のエサとして用いられる、イモ虫(チャイロコメノゴミムシダマシの幼虫)です。動物性タンパク質の補給源となりますが、文鳥には特に必要なものではありません。

 その他いろいろありますが、日常的に必要になるのは、青菜とボレー粉のみです。そのうちボレー粉は配合エサに混ぜてしまっても良いくらいですから、実質的には青菜を用意するくらいと言えます。

 

≪日常の世話≫

 水を毎日交換しましょう。

 主食の配合エサを容器にたくさん入れておくと、好きなものばかり食べ、嫌いなものは残って古くなり、ますます食べなくなってしまいます。1日食べきるよりも少し多めに入れ、毎日交換したほう良いでしょう。

 文鳥自体は尿もせず(フンに含まれる)無臭に近いですが、水浴びで散った水分などで食べかすが腐ってしまい悪臭の元になります。週に一度はカゴの底を掃除しましょう。

 爪が伸びたら切りましょう。深爪させて出血したら、あわてずに、お線香の火などをあてて止血します。

 特に手のり文鳥の場合は、短い時間でも出来る限り毎日、同じ時間帯にカゴの外で遊んでやりましょう

※ 手のりでも、窓が開いていれば飛んで行って迷子になってしまいますから、戸締りには十分に注意しましょう。万一野外に飛んでいってしまったら、すぐに周辺を探し、見つからない場合は最寄の警察に届けましょう。

保定・爪切りについて

 文鳥を動かないように確保しておくことを保定(ほてい)と言います。爪を切る時などに必要となるので、出来るようにしておきましょう。

人差し指と中指で文鳥の首をはさみます。ある程度強くはさんでも文鳥の首は細いので大丈夫ですが、頭が抜けない程度で十分です。同時にその他の指で下半身をやわらかく包みこめば、ほとんど身動きできなくなります。

一人で爪を切る場合は、図のように親指と薬指で文鳥の指を押さえて切ります。
 人間用の大きめの爪切りで、透けて見える血管にあたらないように正面から切ります。横にして切ると圧力で巻いた部分に亀裂が入って、思った以上の深爪状態になって出血しやすくなります。
 もし出血したら、あわてずに、お線香の火を切り口に1秒ほどあてて止血しましょう。

 

≪繁殖について≫

 文鳥は秋から春にかけて繁殖期となるのが普通です。

 まずオスとメスをペア(つがい)で1つのカゴで飼育し(3羽以上の同居は争いとなるので基本的にはやめましょう)、8月の終わり頃から、アワ玉などの発情飼料を与えましょう
 営巣場所となるつぼ巣箱巣を設置して、巣に慣れてきたら、巣材を与え、巣作りをさせましょう。

 平均的には、毎日1個ずつ6個ほど産卵します。そして4個ほど産んだところで、おもにメスが巣にこもって卵を温めます(抱卵)。

※ メスの産卵障害(卵づまり)の防止のため、カルシウムの補給を心がけましょう。ボレー粉を主食とは別に与え、また、カトルボーン副食ペレットサプリメントを与えるのも有効です。

 順調にいけば、抱卵をはじめて16日(抱卵当日を含めれば17日目)前後に孵化します。この間巣の中をのぞき見したり、卵を触るようなことはせずに、掃除なども手早く静かに済ませるようにしましょう。

※ 水浴びを止めさせる必要はありません。また、手乗り文鳥が20分程度巣を離れて遊んでも問題ありません。

 巣から「シィ・シィ」とか細げな鳴き声がしたら、ヒナが生まれた(孵化した)ものと見なせます。アワ玉など、親鳥にしっかり栄養をとってもらい、ヒナを育ててもらいましょう。

 ヒナを手乗り文鳥とする場合は、孵化から約2週間(12〜16日目)してから取り出し、餌づけしましょう。

※ 親鳥から引き継ぐ時期が遅すぎ、目がはっきり見えるようになってしまうと、人間を怖がるようになってしまいます。

 手のり文鳥にしないで、そのまま親鳥に育ててもらう場合でも、同居したままでは同性の親とライバル関係になってしまい危険なので、孵化2ヶ月頃には親鳥と別のカゴに移して飼育しましょう。


病気・寿命について

幼鳥(生後2週間〜6ヶ月)の病気

 栄養性脚弱症・・・餌づけ時のエサに、カルシウムやビタミンB類、D3などが不足していると、生後1ヶ月近くなっても腹ばい歩きしか出来ず、そのままにしておくと運動不能となってしまいます。餌づけエサの栄養に十分に気をつけましょう。
   → 怪しいと思ったら、まずエサを改善し、重度の場合は病院で治療(脚の矯正)を受けましょう。

 トリコモナス感染症・・・トリコモナス原虫(人間の感染するのとは別種)がヒナに経口感染すると、そのうに炎症が起こしたり、のどなどにチーズ状の潰瘍を形成したりして、食欲を低下させ、また運動障害を引き起こし、生命の危険をもたらします(この感染により真菌や他の病原菌にも感染しやすくなります)。ペットショップでヒナを購入する際は、健康状態に十分に注意しましょう。
   → のどから「プチプチッ」と破裂音が聞こえたり、食欲がなく嘔吐したり、下痢をしていたり、同じところをくるくる回るようにしか歩けなかったりしたら、まず保温につとめ、エサを強制的に食べさせ、早急に動物病院でトリコモナスの有無を調べてもらい治療(投薬)を受けましょう。

成鳥(生後6ヶ月以上)の病気

 いつもより元気が無く丸まって寝てばかりだったり、クチバシの色がいつもより薄かったり(貧血症状)、青みがかっていたり(チアノーゼ)、くしゃみをしたり、いつもと違う様子に気が付いたら、食欲や糞の状態に注意し、もし形のくずれた下痢便となっていたら病気と考えましょう。

 ※ 年に1回5〜8月頃に多い羽の生えかわり(換羽)では、数日貧血の様子を見せますが、これは異常で
はありません。

 病気の種類は一般的な細菌性の腸炎から腫瘍までいろいろあり、症状も軽度重度とさまざまです。しっかり治療したい場合は、小鳥の治療に詳しい病院で診察を受けるしかありません。
 ただ信頼できそうな病院が遠すぎ、虚弱な文鳥で通院が苦になるような場合は、自宅療養を中心にする以外にありません。しっかり保温し(30℃程度、羽をふくらまさなくなるまで)、サプリメントやなどで免疫力の向上を試みながら自然治癒することを期待したいところです。

 風邪・・・鼻炎・副鼻腔炎などと呼ばれているようですが、くしゃみや鼻水など人間の風邪と同じ症状になります。あまり文鳥では見られませんが、先天的な体質でかかりやすい文鳥もいるようです。
   → 自宅療養としては保温と特に冬は保湿に気をつけましょう。

 腸炎・・・真菌(カビの一種)や原虫(コクシジウムなど)が原因であることもありますが、より多くは細菌性、つまりエサや水が古くなっていたことによる食中毒が一般的なようです。食欲が減退し下痢症状を起こします。
   → 自宅療養としては市販薬(現代製薬『トモジン=ネオ』)などを与え、保温に気をつけましょう。

 消化器疾患・・・胆嚢や肝臓の異常で、特に胆のう腫は今のところ治す方法がないようです。クチバシが黒味を帯びるほどに濃い赤色となり動作が鈍くなり、お腹を見ると地肌に内臓が黒く透けて見えます。
   → 通院、自宅療養、看護方法、飼い主自身がもっとも納得のいくようにしましょう。

 循環器疾患・・・心臓や肺、気のうの異常で、クチバシにチアノーゼが見られ、運動困難から呼吸困難(口をパクパク)となります。
   → 通院、自宅療養、看護方法、飼い主自身がもっとも納得のいくようにしましょう。

 腫瘍・・・いろいろな部位に発生し、徐々に大きくなり体力を奪っていきます。部位によっては外科的に切除出来ますが、文鳥に多い首筋や尾羽の付け根に出来る(イボ状の突起は尾脂腺という器官なので異常ではありません)腺ガンは、外科的な治療が難しく、ステロイドなどの投薬やサプリメントで治癒を期待するケースが多いようです。
   → 通院、自宅療養、看護方法、飼い主自身がもっとも納得のいくようにしましょう。

 けいれん・・・一般的に「てんかん様発作」などと称され、文鳥に多く見られます。突然に呼吸困難な様子を見せ、苦しみ暴れますが、数分で何事もなかったかのように元に戻ります。脳性の発作で遺伝的要因が考えられそうです。一方、何かショックとなることをきっかけに、過呼吸状態になり、身動きできなくなる文鳥もいます。これはてんかんと言うより、心因性のパニックと考えられそうです。
   → 発作中は水や薬を与えず(気道に入ってしまうと危険)、ゆっくり収まるのを待ちましょう。暴れても危険のないように、カゴの中を工夫しましょう。心因性の場合は、発作を起こす危険性が高いので、通院などの移動は慎重にしましょう。

 毛引き・・・翼の風切り羽や尾羽をかじって曲げてしまい、飛行困難になります。インコではストレス要因が指摘されますが、文鳥の場合一種のクセのようです。
   → 曲がった羽が目に触れるといつまでも気にしてしまうので、抜いてしまいましょう。

 外部寄生虫・・・ワクモによる吸血や、ハジラミ・羽毛ダニによる羽毛欠損が知られています。夜中に暴れかゆそうにしていたり、換羽でもないのに羽毛がボロボロになったりします。
   → カゴ・止まり木・巣を熱湯や天日干しで十分に殺菌し、病院で文鳥の体に殺虫剤を塗ってもらうと良いでしょう。

 内部寄生虫・・・糞の中に白いコロコロした物体が見つかれば条虫、白い細長い物体が見つかれば回虫が、胃腸に寄生していると考えられます。
   → 特に回虫は、すぐに病院で駆虫剤を処方してもらった方が良いでしょう。

 皮膚病・・・クチバシやクチバシの根元などが白くがさつき、そこをかゆそうに止まり木にこすりつけます。
→ 病院で治療しましょう。

 白内障・・・目が白くにごり、徐々に視力が奪われてしまいます。おもに老齢になってからの発症します。
→ 現在の技術では治すことは出来ないので、予防効果があるとされるビタミン類、特にAやCやEを含む青菜を若い頃からしっかり与え、白内障となってしまったら、視力が低下しても暮らしやすいように、カゴの中のレイアウトをいろいろと工夫したいところです。

※ セキセイインコ多いとされるメガバクテリア(AGY症)は文鳥では問題とされていません。またオウム類で問題となるPBFD(免疫不全症)も文鳥には感染しないようです。鳥は種類によって問題となる病気・病原が異なりますので、混同しないようにしましょう。

メスの病気

 卵づまり・・・輸卵管に卵がつまっていきんでも出なくなってしまう病気で、卵秘とも呼ばれます。繁殖期の朝方、元気なく丸まっている時は、多かれ少なかれ卵づまりですが、ほとんどは昼までに自然に産卵します。ただ、軟卵(殻の形成されない卵)などの異常卵)で産卵が長引いてしまうと、総排泄腔を圧迫して糞づまり状態となり危険です。
   → 産卵期にはカルシウムなどが不足しないように注意し、朝方調子が悪そうなら保温し、自力で産卵出来ないようなら
     病院に行きましょう。

 卵管脱・・・輸卵管の一部が、お尻の穴(総排泄孔)から飛び出てしまう病気です。放っておくと飛び出した部分が壊死してしまい、生命の危険となります。
   → すぐに病院に連れて行き整形してもらいましょう。

人間に感染する病気

鳥インフルエンザのよくある誤解

 ほ乳類の人間と鳥類の文鳥では、ほとんど共通する感染症はありません。例えば我々人類が感染する香港型などのインフルエンザは、もともと水鳥のインフルエンザが変異したものと考えられていますが、それすら変異して人間型になってしまえば、文鳥には感染しません。
 昨今「鳥インフルエンザ」が話題となり、何となく鳥から感染すると誤解している人も多いですが、人間が作り出した特殊な状態(養鶏場など)で鳥から感染した人の体内で人間型に変異したら怖いのだけで、問題は「鳥インフルエンザ」そのものにあるわけではありません。つまり、大流行(パンデミック)する可能性があるのは、「鳥インフルエンザ」そのものではなく、あくまでも変異した新しい人間型インフルエンザで、その新しいインフルエンザは、今までの事例から考えれば、鳥に逆感染することすら無いのです。
 鳥の病気の原因となるトリコモナスやクラミジア、さらにはダニに至るまで、人間には感染しません。それらの原虫や微生物は、寄生主の種類個々に分化していて、例えば文鳥のヒナの生命を奪うトリコモナスと、人間に性病を引き起こすトリコモナスはまったく別のものなのです。
 生き物にはそれぞれ固有の病原が存在し、それが共通するか否かは、その生物種同士の種としての遠近関係に由来します。もし人間が万物の霊長で、他の動物からかけ離れた存在であれば、共通に感染する病気など有り得ないはずです。しかし、現実は、近縁種とされるチンパンジーなどとは多くの病原を共有し、種として遠くなるに従って共通するものは減っていくだけで、共通したものもあるわけです(なるべく共通しないように、進化し分化し生物は多様化しているといえます)。
 猿の類とは共通する感染症が多いわけですから、それを飼育するのは大変です。それに比べれば、犬や猫、げっ歯類の方が楽でしょう。しかし、それでも同じほ乳類なだけに、狂犬病やレプトスピラにパスツレラなどその動物から人間に感染する病気は鳥に比べれば多いです。それに比べ、鳥は人間と共通する感染症は少なく、その面ではより安全なのが科学的な客観的事実なのです

鳥インフルエンザ・・・家庭で普通に飼育する文鳥は外部との接触が無いので、鳥インフルエンザに感染する可能性は飼い主よりも低いです。つまり、長年家庭で飼育する鳥がインフルエンザにかかる可能性は、限りなくゼロに近く、問題になりえません。また、ペットショップで売られている小鳥が鳥インフルエンザを持っているケースも、今のところ皆無です。
   → 過剰に心配する必然性がまったくありません。

オウム病・・・極めてまれに、購入した鳥がオウム病クラジミアにかかっており(かかっても鳥自身には症状が現れことが多いようです)、接触することで飼い主に感染することがあります。人間に感染すると、インフルエンザのような症状を引き起こし、さらには肺炎になることがあります。ただ治療法は確立されているので、症状があり病院へ行った際に、念のため鳥を飼育していることを伝えれば、重篤な症状になることはありません。
    念のため、そのような病気があることを知っていれば十分でしょう。

西ナイル熱・・・アメリカ合衆国で問題となっている渡り鳥から蚊を介して感染する病気ですが、今現在日本へは上陸していません。万一日本でまん延しても、家庭の小鳥とはほとんど無関係ですから(かかっても症状が現れないと考えられています)、注意すべきは野生の鳥から吸血した蚊と言えます。 
   → 万一まん延したら、人間が蚊に刺されないように注意するだけでしょう。

 

寿命と年齢換算

 文鳥の寿命は、一般的に7、8年と言われています。実際には、生後1ヶ月未満で亡くなってしまう文鳥が多いので、平均ではなく、1年以上元気だった場合は、7、8年と考えると良いでしょう。
 10歳以上の長寿を保つ文鳥も珍しくありませんが(最高は18歳くらいのようです)、やはり7、8歳になると動きが緩慢になるといった老化現象が現れることが多いようです。また、メスは普通は5、6歳で産卵しなくなります。

 文鳥の年齢を人間に換算するのは簡単ではありませんが、成長段階を比べることで、次のように考えられると思います。

☆ 生後1年未満は1ヶ月につき1歳ずつ加算します。


1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月 11ヶ月

10歳 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳

☆ その後8歳まで1年につき9歳ずつ加算します。


1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年

21 30 39 48 57 66 75 84

☆ 9歳以降は1年につき4歳ずつ加算します。


9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年

88 92 96 100歳 104歳 108 112 116 120 124

 幼くしてなくなることも、天寿を全うすることも、病気で亡くなることも、事故で突然亡くしてしまうことさえあります。いずれにせよ、その個性的で自己主張の強い存在を喪失したことに、飼い主は大きな衝撃を受けるに相違ありません。
 しかし、残していってくれた思い出に感謝して、しっかり冥福を祈ることが出来るのは、飼い主だけです。文鳥のためにもしっかりしましょう。


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